食事は栄養バランスが重要!自分の体に合わせた栄養素を取り入れる

最終更新日:2021年11月13日

誰もが食事が体調に影響することを知っていますよね。しかし、どのような栄養バランスの食事が自分の体に必要なのか分からないものです。

健康を維持するために「痩せる」「病気を予防する」など目的に合わせて食事の栄養バランスを考えることが重要です。

この記事では「5大栄養素の機能・役割」「痩せる栄養素」「病気を予防する栄養素」について解説しています。

 

栄養バランスがいい食事とは

健康を維持するには「食事は栄養バランスが大事だ」と聞くけれど、専門家でもない限り栄養素が体の中で一体どんな働きをしているか分からないですよね。

ここでは、人間の体に必要な栄養素について解説します。

 

食事バランスガイドの活用方法

日本人の食事が欧米化することで、生活習慣病が増えてきました。脂質や炭水化物を過剰に摂取する栄養の偏りが原因とされています。

そこで、厚生労働省と農林水産省は、国民が健康で豊かな生活を送れるように、食事バランスガイドを以下のとおり作成しました。

引用 農林水産省 食事バランスガイドについて

食事バランスガイドは、コマに例えられています。健康を維持するには、コマのバランスをとり続けることが重要だということです。

生命活動に欠かせない水分は、コマの軸になっており、人間の体の6-7割を占めています。

食事の必要割合は、コマの上から順番に主食、副菜、主菜、牛乳、乳製品、果物となっており、下に行くほど必要量が少ないです。これは、エネルギー代謝に必要な栄養素や細胞を合成する際に必要な栄養素の優先順位が高くなっています。

また、想定エネルギー量は、体重、年齢、日常活動量によって変わってくるので、個人に合わせた1日のエネルギー必要量の計算が必要です。

ただし、食事バランスガイドは、健康な人に対する指標なので、すでに高血圧や糖尿病など食事療法が必要な人に適応できません。

病気を患っている人は、主治医や管理栄養士など医療者に相談したうえで栄養バランスのとれた食事をとるようにしましょう。

 

5大栄養素の機能を理解する

人間は、栄養を体に取り入れないと生きていくことが出来ません。

ここでは、生命活動を営む上で必要な5大栄養素である「炭水化物」「脂質」「タンパク質」「ビタミン」「ミネラル」の機能を説明します。

 

炭水化物

炭水化物は、ブドウ糖などの単糖類、ショ糖などの二糖類、でんぷんなどの多糖類である「糖質」とセルロースなど「食物繊維」の総称です。

糖質は、1gあたり4Kcalのエネルギーを生み出し、人間の主なエネルギー源になるため、生命活動に欠かせません。糖質の大部分は肝臓や筋肉に貯蔵されるグリコーゲン(多糖類)または、脂肪や肝臓に貯蔵されるトリアシルグリセロール(中性脂肪)に代謝されます。脂肪は、油などの脂質のみで作られているわけではなく、過剰に摂取した炭水化物でも作られます。そのため、脂肪を落とすダイエット方法の一つに糖質制限ダイエットがあるわけです。

炭水化物が多く含まれる食材は、米、麦など穀類、芋などでんぷん類の主食です。また、ケーキなど甘味類にも炭水化物は多く含まれます。

一方、食物繊維は、人間が持つ酵素で分解できないため、エネルギー源になりません。しかし、腸内細菌の栄養源になるため、腸内環境を整える作用があります。

炭水化物のなかでも糖質は、人間に必要なエネルギー源のため、適量を摂取しましょう。

 

脂質

脂質は、中性脂肪、コレステロール、脂肪酸などの総称です。

脂質は、各細胞を覆っている「細胞膜の成分」脂質の消化吸収を促進する「胆汁酸」生理活性物質である「ホルモン」の材料です。また、1gあたり9Kcalのエネルギーを生み出すため、栄養素の中で最も効率の高いエネルギー源となっています。

脂質が多く含まれる食材は、揚げ物、サラダ油、バターなど油類、牛肉など肉類といった主菜や副菜に含まれます。

脂質は、効率の高いエネルギー源のため、過剰摂取で太りやすい栄養素です。1日の消費エネルギーを意識して、食べ過ぎないようにしましょう。

 

タンパク質

タンパク質は、20種類のアミノ酸が連なったものの総称です。

筋肉、内臓、酵素、髪の毛、爪などほとんどの細胞は、タンパク質で構成されています。

タンパク質は、1gあたり4Kcalのエネルギーを生み出し、炭水化物、脂質に次いで3番目のエネルギー源になります。しかし、人間を構成するために必要な細胞の材料なのでエネルギー源として、ほとんど利用されません。

タンパク質が多く含まれる食材は、主菜、副菜として使われる青魚など魚類、鳥肉など肉類、大豆など豆類、牛乳などです。

タンパク質は、細胞を作るために必要で、不足しがちな栄養素です。体重1㎏あたり、たんぱく質1gを目安に摂取しましょう。

 

ビタミン

ビタミンは、糖質・脂質・タンパク質代謝などに使われ、体の中で起きる生体反応を加速させる補酵素として機能します。

ビタミンは、脂溶性ビタミンであるA、D、E、Kと水溶性ビタミンであるB群、C、葉酸、ユビキノン、ビオチンの2種類に分けられます。脂溶性ビタミンは、過剰に摂取すると体内に蓄積され、不調を引き起こします。そのため、適度な量を摂取する必要があります。

一方、水溶性ビタミンは、すぐに汗や尿として体外に排出されるため、過剰症がありません。そのため、積極的に摂取した方がプラスの影響を受けやすいです。

エネルギー量は、足りているけれど、摂取している栄養素が炭水化物や脂質に偏ってしまうと、ビタミンが不足しがちです。

体の不調を解消するために、ビタミンが多く含まれる食材は、緑黄色野菜、果物、大豆などを摂取して生体反応を「加速」させましょう。

 

ミネラル

ミネラルは、酸素、炭素、水素、窒素以外の無機質の総称で、筋肉を動かす、食べ物を消化するなどの際に必要な栄養素で人間の生命活動に欠かせません。

しかし、人間は体の中でミネラルを合成できないため、食事から摂取する必要があります。ただし、ミネラルは、体に必要以上に取り込むと過剰症になり、体の中に不足すると欠乏症になります。そのため、過不足がないように適量を維持することが重要です。栄養バランスのとれた食事をしている人は、ミネラルを気にしなくても適正量を維持していることが多いものです。

体の中のミネラル量がどうしても気になる人は、近くの病院で血液検査を受けてみてもよいでしょう。

 

瘦せる体質が手に入る栄養素

栄養素は、さまざまな役割があり、目的に応じて摂取することが重要です。痩せたい人は、脂肪が落ちやすい栄養素を身体に取り入れることで、体重が減りやすくなります。

ここでは「瘦せられない・・・」と、お悩みの人におすすめの栄養素を解説します。

 

脂肪の燃焼を促進する不飽和脂肪酸

脂質の1つである不飽和脂肪酸は、体重減少効果があることが分かっています。

 

一般的に脂肪と認識されている白色脂肪細胞は、不飽和脂肪酸によって、脂肪の分解が促進するベージュ脂肪細胞に変換され、脂肪燃焼が促進されるメカニズムは以下のとおりです。

 

脂質を代謝する酵素の生理的役割に関する研究から、白色脂肪組織に常在するM2マクロファージから分泌される脂質分解酵素がオメガ3(ω3)脂肪酸を作り出し、脂肪の燃焼を促進して肥満の進行を遅らせることを発見しました。

引用 国立研究開発法人日本医療研究開発機構 体に優しいオメガ3脂肪酸を動かし肥満を抑える新しい脂質代謝酵素の発見

 

不飽和脂肪酸が多く含まれる食材は、アーモンドなどナッツ類、サバなど青魚、大豆などです。

 

脂肪を燃焼するカルニチン

アミノ酸の1種類であるカルニチンは、脂肪を燃焼させる物質です。

体や臓器を動かすために必要なエネルギーは、脂肪から生み出すために、カルニチンが欠かせません。

実際に、カルニチンの摂取で痩せることが以下のとおり分かっています。

エネルギー制限と運動のみの群に比較して、カルニチンを摂取した群は、体重減少量が多い

引用 実践女子大学 生活科学部紀要第 54 号,001 ~ 005,2017  L-カルニチン-その存在量と生理機能

カルニチンが多く含まれる食材は、ラム肉、牛肉など赤肉、牡蠣、サバなど魚介類です。

 

脂肪の燃焼を加速するビタミンB2

水溶性のビタミンB2は、脂肪の燃焼を促すビタミンです。

脂質の代謝に関わる補酵素なので、脂肪燃焼の速度を加速させます。

ビタミンB2が多く含まれる食材は、レバー、牛乳など乳製品、ブリなど魚、納豆、アーモンド、卵、きのこ類などです。

 

体重が減るカプサイシン

カプサイシンは、体温上昇効果、血流改善効果、体重減少効果などが知られています。

脂肪を燃焼し、エネルギー産生の効率が上がるためです。

消化管から吸収され血中に入ると、感覚神経から中枢神経系を介して、副腎からのアドレナリン分泌を促進します。このアドレナリンが、脂肪代謝などエネルギー代謝を促進したり、発汗を促したりします。

引用 農林水産省 カプサイシンに関する詳細情報

カプサイシンが多く含まれている食材は、ししとう、唐辛子です。

 

 

以上のことから、痩せたい人は、「不飽和脂肪酸」「カルニチン」「ビタミンB2」「カプサイシン」が含まれる食材を積極的に摂取しましょう。

 

病気を予防する栄養素

健康を維持するには、体の不調を解消し、病気にならないことが必要です。栄養バランスのとれた食事は、病気を予防できることが分かっています。

ここでは、あなたにおすすめの「病気を予防する」栄養素を解説します。

 

ホルモンバランスを整えるイソフラボン

女性ホルモンと同じような働きをするイソフラボンは、糖尿病予防、LDLコレステロール減少、更年期障害改善、筋肉減少予防、骨粗しょう症予防、美肌などの効果が認められています。

女性ホルモンであるエストロゲンの減少がさまざまな病気を引き起こす引き金になっていることが分かっています。そのため、エストロゲンと同じような作用を示すイソフラボンの摂取が重要になります。

脂質異常症、糖尿病、骨粗鬆症、更年期障害、廃用症候群を予防したい人は、納豆・きなこ・豆腐・油揚げ・味噌などの大豆食品をとりましょう。特に閉経後の女性は、女性ホルモンの分泌量が減少するので、大豆中心の食生活がおすすめです。

 

免疫力がアップする腸内細菌の善玉菌

腸内細菌の中でも乳酸菌やビフィズス菌などは、人間にとって有益な効果をしめすため、善玉菌と呼ばれています。なかでも、注目したいのは、免疫力を上げる効果です。

乳酸菌などの善玉菌は、ウイルスや細菌を倒す免疫細胞の働きを活性化させるメカニズムが以下のとおり分かっています。

乳酸菌などが産生する乳酸・ピルビン酸がマクロファージ上のGPR31に結合すると、マクロファージは樹状突起を伸ばし、病原性細菌を効率よく取り込む。その結果、病原性細菌に対する抵抗性が増加する。

引用 国立研究開発法人 日本医療研究開発機構 細菌の代謝分子によるGPR31依存的な腸管CX3CR1+細胞の樹状突起伸長

 

ウイルスや細菌が原因の感染症を予防したい人は、腸内細菌の善玉菌が多く含まれるヨーグルト、チーズ、漬物、味噌、醤油など発酵食品を多くとりましょう。

 

オートファジーを活性化する栄養素

アスタキサンチンやカテキンなどの栄養素は、細胞を若返らせる機能があるオートファジーを活性化するため、生活習慣病、認知症、感染症などに効果があります。

オートファジーの詳しい機能に関しては、「食事制限は一切なし!空腹の時間を利用して健康になる方法がわかる – 藤永智也公式サイト (health-timemanagement.com)」を参考にしてください。

生活習慣病、認知症、感染症などを予防したい人は、鮭、イクラ、エビ、カニなど「アスタキサンチンが含まれる食品」緑茶や紅茶など「カテキンが含まれる飲料」 味噌、納豆、ヨーグルトなど「発酵食品」しいたけなど「キノコ類」をとりましょう。

 

目的に合わせて必要な栄養素を取り入れる

5大栄養素は「エネルギー代謝」「細胞合成」など体の恒常性を維持するために働いています。

そのため、栄養バランスのとれた食事が不可欠です。栄養素には「痩せる」「病気を予防する」などさまざまな役割があります。

目的に合わせて、あなたの体に必要な栄養素を取り入れましょう。

コメントを残す

CAPTCHA


関連記事